「そのすぐ謝る癖やめた方がいいよ。別に俺は怒ってるわけじゃないし。
歩くの遅いって言ったけど、俺がお前に合わせればよかったんだよね」
谷山君の口から、人を気遣うような言葉をあまり聞いたことがなかった私は、さっきより歩幅を合わせて歩いてくれてる彼と少し距離を空けて歩く。
谷山君という人をいまいち掴めてない私は、何を話していいのか、話題のなさに困ってしまう。
話題探しをしてるうちに家に着いてしまい、鍵を開けたところで谷山君がやっと声を発する。
「あれ? ヒロはまだ帰ってきてないの?」
「今日は、少し遅くなるって。だから夕飯は私が作ることになったの」
部屋の明かりを点けると、手を洗って早速夕飯の準備をすることに。
「へぇ。ヒロいないんだ……」
ポソッと呟くその声は私には聞こえてなくて、夕飯が出来るまでの間は特に話すことなく、大翔君がいる時はよく話す谷山君が妙に静かで何となく気になった。
7時になる頃には、夕飯の準備も終わって、あとは大翔君が帰ってくるのを待つだけだった。
「あ~、腹減った。ヒロまだ帰ってこないの?」
電話をかけてみたけど、留守電に切り替わるだけで繋がることはなかった。
「もうすぐ帰ってくると思うけど」
「帰ってくる時間がだいたいわかっちゃうとか、ほーんと新婚みたいだねぇ」

