溺愛王子とヒミツな同居




鼻の下伸ばして、何デレデレしてんだあいつ……。



「人の席に座って何してんだ。いいご身分だな……」



静かに光の真向かいに座った俺に、一斉に振り向くハーレム集団。



「げっ。大翔いたの? や、やだなぁ~いるなら声かけてよ」



「きゃあー!松坂君が喋った! 超カッコイイ!!」



「こんな間近で見られるなんて、ウチら超ラッキーじゃん」



さっきまで光に熱をあげていた女子は、俺の姿を見た途端に騒ぎ始めた。



何とかしろよと目線を送ると、愛想笑いを作りながら、女子たちに向き直る。



「あー、ごめんね。オレ、今から大翔と大事な話があるから、また今度デートしよ」



騒ぐ女子たちを落ち着かせるように、ウインク付きで慣れた言葉をポンポンと並べていく。



「えーウチらも一緒がいい」



「ごめんね~。この埋め合わせはちゃんとするからさ」



1人ひとりにハグをして、手を振って見送るまでの一部始終を椅子にもたれて、腕を組んで見ていた俺にやっと光が振り返った。