ニヤリと笑い、こんな時だけ役に立つ悠二に心から感謝する。
「ヒロ!? んだよ~……。
マジで兄貴だと思ったじゃん」
「そんなに悠二君が恋しいなら、さっさと帰ればいいだろ。
それよりお前……何でこんなとこに寝てんだ。
ちゃんとわかるように、俺に説明してみろ」
まだ目覚めたばかりの祥吾の両頬を右手の親指と中指で引き寄せ、たこ唇を作る。
すげーマヌケ面……。
率直な感想を心の中で述べた俺の手を払いのけて、祥吾は頭をガシガシと掻く。
「何の話? 俺ちゃんと自分の部屋に寝てるじゃん」
「はぁ? お前今すぐ眼科に行け。
ここが誰の部屋かわかってて、ベッドに入ったんなら無条件で殴るぞ」
まだ意識がちゃんとしてないのか、祥吾は眉間にシワを寄せて考え込む。
「殴るのやめてよ。これでもこの顔気に入ってんだから。
あ~、そういえば……夜中にトイレで起きた時に部屋間違えたかもしんない」
真顔で爆弾投下しやがった。

