「ベ、ベッドの中……っ」
震える指先で示したのは、布団にくるまった丸みのある物体。
1人で寝てるはずのまりやのベッドにそんな物体があるのはおかしい。
「ちょっと待ってろ」
その場にまりやを残し、布団から少し覗く脇腹に指を滑らせる。
すると、その丸い物体はデカい体をよじり、こもった声を漏らす。
脇腹がそいつの弱点だと把握してる俺は、今度は思いきり脇腹の肉をつまんでやった。
「……いってぇ~!! バカ兄貴やめろって!! マジでそれだけはやめて!!」
物すごい勢いで飛び起きて、両手で脇腹を死守していた。
「誰がバカ兄貴だ。寝惚けんのもいい加減にしろ」
悠二流・祥吾を叩き起こす術。
昔よく見てて、アホらし……と思ってたけど、効果絶大だな。

