その日の夕飯は、不気味なくらい何事もなく静かに過ぎて、祥吾がまりやに何かするんじゃないかと目を光らせていたけど、結局何も起きないまま。
だけどそれは、嵐の前の静けさってやつで、あいつは翌朝から問題を起こしてくれた。
翌朝。
時計の秒針が6時を指そうとしていた。
いつも通り、まりやの弁当を作り終えて、もう一度寝ようと2階に上がりかけたところでそれは起きた。
「きゃああーーー!!」
静まり返る家の中にまりやの悲鳴がこだまする。
眠かった意識が一気に覚醒する。
急いでまりやの部屋の前へ行き、勢いでドアを開けると、フローリングに座り込んで半泣き状態のまりやの姿が目に飛び込んできた。
「どうした?」
なるべく驚かさないように静かに聞き返す。
俺を見た途端に抱き着いてきたまりやの体を受け止めて、背中を優しく擦ってやる。

