俺とまりやを素直に祝福する祥吾に変だとは思ってたけど、やっぱりあの言葉は口先だけだったってことか。



嬉しそうに笑っていたまりやの顔が浮かんできて、ギリッと奥歯に力を入れる。



「ヒロは大事な従兄弟だけど、俺も火点いちゃったし本気でいかせてもらおっかなぁ~なんて」



「そんなことさせるわけないだろ。ずっと想ってきて、やっと俺のものになったんだ。
遊び半分のお前の軽い気持ちなんかと一緒にするな。

絶対に渡さない」



怒りを堪えて、祥吾の胸ぐらを掴むと、一瞬だけ苦しそうな表情を見せる。



「暴力反対ー。ヒロが1人の女の子にこんなにハマッてるって知ったら、学校の女の子たちが悲しんじゃうだろうね。
でも、人のものっていうのが、いい響きなんだよね」



「祥吾……!」



自分勝手なことばかりを言う祥吾に怒りを抑えろってほうが無理だ。



「うわぁー、ヒロ顔怖いよ? そんな怖い顔してたらまりやが泣いちゃうかも」



胸ぐらを掴んでいた俺の手から、いとも簡単に逃げ出すことに成功した祥吾は、もう部屋のドアの前に避難していた。



「じゃ、そういうことだから、改めて今日からよろしくね」