「焦んなくてもいいよ。
お前のペースでやればいいんだから」
俺が言っただけで、嬉しそうにする。
ちょっとしたことなのに、こんな嬉しそうにされると、もっと触れたいって堪らなく思う。
「わぁ~! 面白いテレビやってんじゃん!」
またしても、ひょっこりと俺とまりやの間に現れた祥吾は、遠慮という言葉を知らないのか僅かに空けて座っていた間に無理やり座りこんできた。
「おい、なんでわざわざ間に座るんだよ。
向こう空いてるんだからあっちに座ればいいだろ」
「え~。だってここが一番の特等席じゃん。
向こうに座ると腰痛くてさ」
「お前は年寄りか。
若いんだからもっと体を鍛えろ」
「そういうヒロの発言の方が若くないと思う」
わざとなのか、たまたまなのか2度も邪魔されて、その上若くないと思う……?
故意にやってないにしても、こいつの性格を知ってるから余計にムカつく。

