初めて見て、喋ったことすらない名前も知らない奴なのに、光には近付けさせちゃいけないと、俺の中の何かが危険を知らせていた。
何なんだ……一体……。
自分でもわからない感情に戸惑っていた。
「オレ、話かけてこよ~」
「ちょっとぉ。また違う子に手出すつもり?」
「光ってばぁ、あたし達の相手してよ~」
ベッタリと離れない2人の女に「ごめんね」と謝って、光は立ち上がる。
すかさず、俺も声をかけた。
「どこ行く気だよ、光」
こういう場面で、俺がこいつに話しかけることはまずない。
そんな俺が珍しく声をかけたことに光は驚いていた。
「お前がこういう時に話しかけるなんて珍しい……。
もしかして、あの子のことが気になるとか?」
「別に、そんなんじゃねぇよ。
ただ、お前の節操のなさに感心してただけだ」

