好きな人がいるのに、いくら幼なじみでよく知ってる間柄と言っても普通はここまでしないと思う。



私が同じ立場だったら、絶対に相手に誤解されるような行動は取らない。



それなのに、大翔君は大事に想ってる人がいながら……どうして私と一緒にいてくれるんだろう。



もし、同居の話が出た時にそのことを知っていたら、ちゃんと断ったのに……



どうして?



また黙り込んでしまった私は、何をどう話したらいいか自分の中で整理できずにいた。



今からでも遅くないよ。



大翔君のためにも……一緒に暮らすなんてよくないんだよね。



そうわかっていても、一緒にいたいっていう気持ちが邪魔をして声が出てこない。



「まりや……?」



私が話をするまで、ちゃんと待っててくれた大翔君が心配そうに首を傾げる。



「ぁ……」



自分が思ってることもちゃんと伝えられないなんて、私って本当に……。



唇を噛みしめて、緩む涙腺と必死に戦う。



「あ〜! さっぱりした……って、何? この重たい空気。
え……まりや、泣いてんの?」



「……っ!」



涙は流れてないのに、見事に言い当てられたことに驚いてソファから立ち上がると、谷山君の横をすり抜けて自分の部屋へと駆け上がった。