何だかんだ言いながら、夕飯の時も隙あらばまりやに近付こうとする祥吾を追い出すように、バスルームに押し込んでやった。
あいつがいたんじゃ、ゆっくりまりやと話をすることもできない。
ふぅっと一息つきながら戻ってくると、心配そうな目を俺に向けるまりや。
「何か……どっと疲れた。
こんなことになって、本当にごめんな」
夕飯の時、笑い話をするみたいに自分がここに来た経緯をペラペラと話し出した祥吾。
当然、同居してることを知っていたということもまりやに話してるわけで、後から落ち着いて説明しようとしていた俺の考えを全て台無しにしてくれた。
これ以上、こいつに不安を与えないように話すつもりでいたのに、余計なことばっかりしてくれる。
「大翔君が全部悪いわけじゃないよ。私もちゃんともっと気を付けるべきだったの。
同居してくれるように頼んだのは私の方だし、大翔君に迷惑かけることになっちゃって……ごめんなさい」
「まりやが謝ることじゃない。俺がここにいる理由、前にも言ったろ?
嫌だって思う相手とずっと一緒にいられるほど器用な性格じゃないし、お前は特別だから。
だから、安心しろってのは今の時点では無理かもしれないけど、俺が側にいる」
「大翔君がいてくれるから、大丈夫。
不安がないって言ったら嘘になるけど」
俺の言葉に安心したのか、ふわりと柔らかく笑うまりやの頭を撫でようとした手を止める。
祥吾のことがあったから忘れてたけど、俺はこいつに避けられてたんだった。
嫌なことを思い出して、急に黙り込んだ俺を見て、まりやが首を傾げる。
「どうかしたの?」
「いや……」
どう切り出していいのかわからず、そのまま沈黙が続いた。