俺に戻ってきたその視線を真っ直ぐに受け止め返してやる。
「小さい頃はともかく、面白いからとかいう理由であいつに近付くな」
ドンと右手の拳で祥吾の胸を叩くと、クスクスと笑い出した。
「何笑ってんだよ」
「くくっ。別に〜」
「とにかく、お前の期待に応えてやる気はまったくないから、自力でどうにかしろ。
悠二に頭下げて許してもらうんだな」
それだけ言い残して、とりあえず祥吾に怪しまれないように自宅に一旦戻ることにする。
「あれ〜? どこ行くの?
ヒロが住んでるのは今ここでしょ?」
足を止めて祥吾に振り返ると、“ここ”と迷わず指差した場所は、まりやの家だった。
「……何言ってんだ、お前」
内心ではすごく嫌な予感がしたけど、それを顔に出さないよう聞き返す。
思っていた反応とは違うものに少し考える素振りを見せてから、1人笑い出した。
「何がおかしいんだよ」
「べっつに〜。相変わらずクールだし、やっぱヒロはカッコいいよね。いちいちムカつくくらいカッコいいよ」
冷めた苦笑いを漏らし、怪訝そうな顔をする俺をその冷めた眼差しが捉える。

