「そんなの自業自得だろ。有紗に何吹き込んだのか知らないけど、俺はまだお前のこと許してない」
「あーうん、そうだよね。
いや、俺なりに有紗にはヒロのこと諦めてもらおうと試みた結果っていうか」
何言ってんだ、こいつ。
だからって、やっていいこと悪いことの区別くらいつくだろ。
実の妹を使って、何しようとしてたのか知らないけど、絶対ロクことじゃねーな。
「で、用件は何だ。手短に話せよ」
「兄貴に追い出されて、行くとこなくてさ。
悪いんだけど、ヒロん家に泊めてくんない?」
「絶対に嫌だ。俺をお前ら兄妹喧嘩に巻き込むな。
自分が蒔いた種のことくらい自分で責任持てよ」
間髪いれずに即断りを入れた俺に、落ち込むどころか、薄笑いを浮かべる祥吾。
「即答しすぎ。もう少し悩んでくれてもよくない? 従兄弟なんだし」
目を逸らさずに見ていると、まりやがいる自宅の方を見上げる。
「まりやってさ、思ってた以上に可愛くなったと思わない? ヒロも俺が小さい頃にあいつのこと好きで意地悪してたの気付いてたでしょ。
俺、本気でまりやのこと欲しくなっちゃったかも……なんて」

