溺愛王子とヒミツな同居




「また難しい顔してる。

もしかして、オレがこんだけ助言してあげたのにまりやちゃんに避けられてる理由わかんないって言わないでよ」



パックの底に残った野菜ジュースを飲み干し、そのままグシャと片手で握り潰す。



「光が言ったことはわかったけど、あいつにはもう」



「ストップ。大翔……お前ってさ、自分のことに鈍感な奴だったんだね」



「はぁ? お前に言われたくねーし」



「いや、マジな話よこれ。まりやちゃんも見た感じかなり鈍感っていうか天然だし、大翔もこれじゃ……お互い大変そうだね。

まりやちゃんは、オレ的にかなりタイプだったんだけどなー」



とか何とか言って、俺に恨みがましい視線を向けてくる。



「ほーんとお前って羨ましい奴だよ。

何もしなくても女の子寄ってくるくせに、その子たちには見向きもしないで、たった1人の女の子しか見てないんだから。

オレも特別だって想えるそんな子と出会えてたら少しは違ったのかもな……。
ま、オレに言えるのはここまでかな。あとは自分で何とかしてみて」



急に遠い目をして、ポツリと呟いた光に複雑な気分になった。



その日の放課後、家に帰ったらまりやと話しあおうと決めていた俺は、買い物を済ませて急いで家に帰る。



もう家にまりやが帰ってると思うと、自然と俺の足は速くなった。



避けずに話を聞いてくれるのか、そんな不安を抱えつつも家に急ぐと、まりやの家の前には祥吾が立っていた。



何してんだあいつ。



歩く速度を落として、ゆっくりと祥吾に近付くと俺に近付いてニッコリと笑った。