「なんでお前にそんなことがわかるんだよ」
自分だけわかったような光に納得できない俺は、つい突っかかるような言い方をする。
「そりゃさ、大翔よりかは女の子の気持ちわかってるつもりだしね。
オレだってダテに場数踏んでないし。
まりやちゃん、ショックだったんじゃないかなぁ。大翔ハッキリ言ったらしいじゃん、有紗嬢に。
“俺には、ずっと想ってるヤツがいる”って」
確かに有紗に俺の気持ちはハッキリと伝えた。
だからって、それがまりやに避けられる理由とどう関係があるっていうんだ。
難しい顔をしていたんだろう俺の眉間に、光が人差し指で突いてくる。
「他のことには勘が鋭いのに、肝心なとこで働かなきゃ意味ないじゃん。
でも、完璧じゃないから、一緒にいて楽しいんだよね、大翔はさ」
「何言ってんだ、お前。だから、どういう意味だよ」
「じゃあ聞くけどたとえばの話、大翔が反対の立場だったとして、告白してきた男にまりやちゃんが私にはずっと想ってる人がいるんですって断ったとするじゃん。
そしたら、それを間近で聞いてた大翔はどう思うの?」
どう思うって、そんなのショックに決まってんだろ。
俺じゃなくて、他の誰かがまりやの心の中にいるんだって思ったら……。
「わかった〜? ま、説明するより今想像してみた感情の方が今のまりやちゃんの気持ちに近いと思うよ」
ちょっと待て。光が言ってることはたとえの話であって、まりやが俺を避けてる理由には結びつかないだろ。
だって、あいつにはもう他に想ってる奴が……。

