「ここんとこお前の様子がビミョ〜におかしいからさ、この大親友のオレが相談に乗ってやろうと思って」
「なんで上から目線なんだよ。別に相談することなんて何もねーよ」
弁当じゃなく珍しくパンを取り出した俺に光の目が光った気がした。
「その昼ご飯まさに怪しい!」
「何がだよ。俺だってたまにはパン食べたかっただけだし」
「うん、益々怪しい……。て、冗談はここまでにして、大翔さ〜最近まりやちゃんとしゃべってないでしょ」
パンを食べようとしていた俺の手がピタリと止まる。
日頃から女に絡んでるせいか、人のちょっとした変化に鋭い光。
俺のことなんて気にしてないはずなのに、こいつだけはいつもすぐに気付く。
「図星か。なーんかギクシャクしてるっていうか、よそよそしいっていうか。
お前がじゃなくて、まりやちゃんの態度がね。気になったんだよ。で、何したわけ?」
野菜ジュースをストローで飲みながら、答えろよと視線を投げてくる。
口元まで持ってきていたパンを静かに下ろし、自分の足元を見つめた。
「別に何もしてねーよ。気付いたら、避けられてた」
「まりやちゃんが嫌がるようなことしたんじゃないの? 例えば、事故を装って抱き着いたとか、転ぶフリをして押し倒し」
「お前と一緒にすんじゃねーよ」
「ですよねー。て、オレだって女の子にそんな無理矢理なことするわけないでしょうに。まったく。
で話戻すけど、何か嫌がるようなこと言ったとか」

