顔色を真っ青にして、目をキョロキョロさせる有紗さんは必死に谷山君に助けを求める。



先生って、そんなに怖い人なのかな。



「知らなーい。お前が勝手にヒロに会いに来たんでしょ。だから、俺かばってあげないよ」



「酷いっ! ヒロ兄に会わせてやるって言ったの祥兄でしょ!?

1人だけいい顔するなんて絶対許せない!

ヒロに彼女ができるかもって吹き込んだ張本人のくせに!!」



ゼェーゼェー息を肩で吐いて、一息に言い切った有紗さんの言葉に、私はショックを受けた。



大翔君に彼女……?



それって、好きな人がいるってこと……?



「バッカ! お前……何バラしてんだよ!

せっかく可愛い妹のために協力してやろうとしてたのに」



「へぇ〜。俺にいつ彼女ができるって?
有紗が突然来たの変だと思ってたけど……てめぇの根回しか、祥吾。

詳しく聞かせてもらおうじゃねーか、このクソガキ。
覚悟できてんだろうな」



ゆらりと谷山君の後ろに歩み寄り、がっしりと肩を掴んだ大翔君にあの谷山君が引きつり笑いを浮かべている。



「クソガキって、ヒロと俺はタメじゃん」



「うるせーんだよ。そういう子供みたいなこと考える時点でクソガキなんだよ。

どういうことか説明してもらおうか」



近くの公園に入り、谷山君と有紗さんをベンチに座らせると、腕を組んで仁王立ちした大翔君が2人を見下ろしていた。



何が何だかよくわかっていない私は、その輪の中には入れずにいて、何も言えずただ近くに立ってることにしかできなかった。