「こらー! 谷山ー!
真面目に試合しろ。授業でもこれは真剣勝負なんだぞ」
「谷山って、兄貴先生だって同じ苗字でしょ。
紛らわしいんですけどー」
「うるさい。この減らず口め。
お前が真剣にやらないから注意しただけだ」
1組と2組の体育の時間。
男子と女子に分かれて、大体育館での授業中に恒例になってきた谷山兄弟の掛け合いが今日も賑やかに行われていた。
男子はチームを作って、バスケの試合形式で授業を受けている。
私たち女子は、バレーボールの授業中……だったんだけど
授業そっちのけで、女子の半数以上……ううん、ほぼ全員が男子のバスケの試合に釘付けで、授業という名の観戦状態になっていた。
「ほんとあの2人って面白いよね。
谷山先生があんな人だったなんて、すごくイメージ変わったよね」
「やっぱ身内がいると素が出るんじゃない?
ああいう先生も魅力的でいいと思う!」
前から人気があった谷山先生だけど、弟さんが転校してきたことでその人気がさらに増した気がする。
「きゃー!! ヒロくーんっ!」
「マジかっこよすぎ! 今のシュート見た!?
ボールが吸い込まれるように綺麗にゴールするとことかヤバイ!」
反対側のコートでは、大翔君がキャプテンを務めるチームが点差を大きく広げて圧勝状態だった。
「きゃー! 大翔様〜。
私もファンになっていいですかぁ?」