「ははっ。その顔、まったく信じられないって感じだね」
人のちょっとした表情の変化もすぐに気付く祥吾は、乾いた苦笑いを漏らす。
「信じろって方が無理な話か。でも、昔みたいな意地悪はもうしないよ、本当に。
その代わり……まりやにはさらに興味が湧いちゃったんだよね♪」
「谷山君……っ」
まりやの体を壁際に追い込む形で近付いた祥吾が何を言ったのか、俺がいる場所では声が小さすぎて聞き取ることができなかった。
だけど、まりやの表情だけであいつがまた何かの意味を含む言葉を発したのはすぐにわかった。
何を言ったのか、今すぐ2人の間に割り込んで聞き出してやりたい気分だったけど、それよりもまりやとの必要以上に近すぎる距離に俺のイライラが募る。
ただの散歩の途中で寄っただけなのに、あんなに顔を近付けて話をする必要あんのか?
ないよなぁ……。
あいつも変に女慣れしてるし、光同様に危険人物2だな。
「さてと! じゃ、俺は帰ることにするよ。それじゃ、また明日な。
女の子1人じゃ物騒なんだから、ちゃんと戸締まりして寝ろよ」
「……!」
なんで、まりやが1人だってこと……あいつが知ってんだ?

