「まりや、ちょっといい?」



お風呂に入ろうかと思っていた私の膝に、柔らかくくすぐったいものが触る。



「ひ、大翔君……っ!?」



「30分だけ、寝かせて」



そう言って、私に有無を言わせず目を閉じてしまった。



びっくりした……。



頭を私の膝の上に乗せて横になった大翔君は、もう静かに寝息をたてていた。



突然のことに、私の体は硬直。




でも、今朝の宮内君の言葉を思い出した。



昨日、寝不足だったんだよね。



私のせいで、きっと一睡もできなかったんだと思う。



ごめんね、大翔君。ありがとう。



大きくなってから見る大翔君の寝顔は、目を閉じていても端正な顔立ちで綺麗だった。



ずっと見ていたいという気持ちを抑えながら、柔らかい髪にそっと触れる。



そうして、大翔君が起きるまでの間、ずっと寝顔を見つめていた。