「ほんっと、ヒロには敵わないよ」
そう言って頭を掻くと、姿勢を正した谷山君は、私に向き直りいきなり頭を下げた。
「あの時はごめん。子供だったとはいえ、やりすぎた。
今更謝って、許してもらえるなんて思ってないけど、煮るなり焼くなり殴るなり、それ相応の罰は受ける覚悟できてるから。
ほんとにごめん!」
「あの、頭上げて…』…? それに罰なんて、そんなこと思ってないから」
何年も前のことをこんなふうに謝ってくれるなんて想像もしてなかった。
谷山君が転校してこなければ、会うことだってなかったかもしれない。
今すぐ許すとか、仲良くすることは難しいかもしれないけど……。
複雑な思いを抱えたまま、どう返していいのか悩んでいた。
「あんたマジで悪いと思ってんの?
まりやを傷付けるようなことしたら、谷山祥吾……あんたを呪ってやるから」
「ゲッ。呪いとか超古典的なやり方」
栞が両手の指の骨をポキポキと軽快に鳴らして、今にも掴みかかりそうな雰囲気を出す。
「奇遇だねぇ、米ちゃん。俺もまったく同じこと思ってた。
オレも藁人形に祥吾って書いた札つけて、五寸釘でトドメ刺してやろうと思うんだけど、いいよねぇ?」

