笑ってごまかしていた谷山君も、一度だけ肩を震わせて大翔君を見る。
うつむいていた私も、大翔君の声に顔を上げた。
「祥吾、小さい頃のことでも、ちゃんとまりやに謝れ。
お前は、上手く隠してたつもりだろうけど、俺は全部知ってた。
お前にとってはただの思い出でも、まりやにしてみたら嫌な思い出ばかりなんだよ。
こいつは、俺には絶対何があったとか、誰に意地悪されたとか言わない奴だったから、俺も何も言わずにいたけど……
このままじゃ、まりやが辛い思いをすることになる。お前だって、嫌われながらこれからの学校生活を送ることになるのは嫌だろ?
だから、ちゃんと謝れ」
大翔君、小さい頃のこと気付いてたの?
何があっても、何を聞かれても、絶対に言わなかった。
告げ口するみたいで嫌だったから。
今だって何も口にしてないのに、私のこと気遣ってこうして話をしてくれてるんだよね。
やっぱり、大翔君は優しいよ。
こういう優しさは、小さい時から何一つ変わってない。
大翔君の気持ちが嬉しくて、涙が溢れそうになる。

