溺愛王子とヒミツな同居




「従兄弟!? てことは、谷先も松っちゃんと従兄弟なの!?」



あまりの驚きように力が入り過ぎた栞の手に握られていたシュークリームからは、グニュッとカスタードクリームが顔を出していた。



「そう。兄貴も今じゃ立派ぶってるけど、結構やんちゃだったんだよ」



「はぁ~。いや、マジでびっくりしたわ。どおりでどことなく顔が似てるわけだ。

……ん? てことは、あんたか! まりやを小さい頃イジメてたガキんちょは!!」



完全に形を失ったシュークリームは、栞の握力によって潰され無惨な姿に。



「イジメって、そんな人聞き悪いなー」



「はぁ!? 祥吾、お前……まりやちゃんのことイジメてたのか!?」



宮内君まで身を乗り出して、谷山君に詰め寄っていく。



「そういうことしてた時期もあっただけだよ。

ほら、若気の至りってやつ」



ケラケラ笑って、今思い出したみたいな顔して。



さっきまで楽しかった私の気分は、鉛みたいに重い。



「祥吾」



栞と宮内君が更に問い詰めようとしてるところに、低く真剣な声音がその空気を一変させた。