騒がれてても、いつもなら無視してる大翔君が、珍しくみんなにハッキリと言い切った。
その雰囲気は、私でもわかるほどピリピリしたもので、それ以上、誰一人として突っ込んで聞いてくる人はいなかった。
女子たちは、すぐにそんな沈黙を破り、滅多に声を張り上げたり、口数が少ない大翔君の声が聞けたことに興奮している様子だった。
「あーあー。ヒロりんてばこわーい。
あいつ完全に寝不足で不機嫌MAXだな。
夜も眠れなかったなんて、何やってたのか、この恋愛経験豊富な光君にも教えろよ~」
宮内君は慣れているのか、大翔君が放つ空気を物ともせず、普通に話かけている。
「黙れ。その含みのある言い方やめろ。
大体、お前の場合は、恋愛じゃなくて女遊びの経験豊富数だろうが」
「もう~、照れるなって。
青春を謳歌してるなんて、素晴らしいことじゃないか!
今度オレも誘ってね? すぐに飛んでくから」
ニッコリとそれは綺麗な笑顔を作った宮内君に対して、大翔君は笑うどころか完全無表情。
「万年ド変態春男。
どこまでめでたい頭してんだ、お前は」
「うっわ! 今日は一段と毒がある言い方。
でも、オレに愛情あるってわかってるから気にしないぜ。
大翔、オレもお前を愛してるぜ! 親友として」
女の子なら絶対に喜びそうなキメ顔で、大翔君に大胆告白した宮内君だけど、それを受け入れられるはずもなく、栞に大笑いされてしまった。
「ヒカりんってバカじゃん。超ウケんだけど!!」
「米ちゃん、その呼び方は頂けないし、オレのことバカ呼ばわりしないで。
そしてウケるのおかしいでしょ?」

