目を閉じていてもまったく眠れない俺は、うっすらとまた目を開く。



耳を澄ませると、規則正しい小さな寝息が聞こえる。



暗い部屋で目が慣れたせいか、まりやの寝顔が見えた。



顔にかかる髪をそっと耳にかけて、優しく頬を撫でると、長い睫毛がピクリとそれに反応する。



「あんまり……俺を困らせるな……」



聞こえてないとわかっていても、言わずにはいられなかった。



俺の苦労を知らないまりや。



安心しきった顔して寝ちゃって、無防備すぎるだろ。



とことん、まりやにだけは甘い俺。



これくらいはしても、罰……当たらないよな。



体を少しだけ起こして、触れるか触れないかのキスを1つ、まりやの頬にそっと落とす。



何も反応がないと知っていても、体が勝手に動いた。



起きてる時にしたら、お前はどんな表情するんだろう。



そんなことを想像しながら、いつの間にか深い眠りに落ちていた。