雷が鳴ったわけでもないのに、大きく肩を跳ねらせて、小さな体を震わせている。



「まりや……? 雷怖いのか?」



背中に回された手に力が込められて、小さな悲鳴にも似た泣き声が聞こえる。



「……こ……怖い……っ。暗いところ……」



雷を怖がってるんだと思っていた俺は、まりやのその言葉で思い出した。



昔から寝る時は、必ず電気をつけて眠っていたことに。



小さい頃、俺の従兄弟によく意地悪されてたまりやは、そいつの悪戯で遊園地のお化け屋敷に1人、置き去りにされたことが原因で暗いところがダメになった。



俺に抱きついたまま、離れようとしないまりやを見てると、前よりも酷くなってるように思えた。



「大丈夫。俺がいるから、怖くない」



とりあえず落ち着かせるために、背中をポンポンと叩いてやる。



昔もこんなふうに慰めたことがあったことを思い出して、こんな状況にも関わらず懐かしさを覚える。