肉や惣菜が並ぶ対面ケースを挟んで、米倉が怪しい笑いを寄越す。
「ち、違うよ……! 家がお隣さんだから」
「あー、ハイハイ。なるほどね。それで一緒に来たってわけか。
まりやも1人暮らし、もう慣れた?」
頼んだ商品を袋に詰めながら、米倉が聞いてきた。
絶対秘密の同居生活。
信頼してる友達にも言えないことがあるのは、辛いよな。
複雑な心境で、楽しそうに親友と話をするまりやを見てると、米倉が俺の目の前に袋を差し出してきた。
「これオマケね! 松っちゃん、まりやのことちゃんと守ってやってよ。
この子にとっては、松っちゃんだけが永遠の王子様なんだから」
「……? ああ……」
一応返事は返してみたけど、言われてる言葉の意味はさっぱりだった。
「し、栞……っ!」
慌てふためくまりやに、ニッコリと意味ありげに笑う米倉。
気にはなったけど、深い意味はないだろうと店を後にした。

