「やっぱ違うじゃん! ヒロ君がこんな所で女の子と一緒にいるなんてあり得ないよ!
しかも、あの人たち……キスまでしてるし、ヒロ君じゃ考えられない」
「他人の空似かぁ……残念。でも、ヒロ君になら唇奪ってほしーい!」
きゃあきゃあ騒ぎながら去っていく女子生徒たち。
何とか難を乗り切った俺は、真っ赤のまま動かないまりやがおかしくて、つい笑ってしまった。
「すげぇ真っ赤。キスしてるらしいぞ、俺達。
ほんとにしてみる?」
「へっ!? す、するって……?」
「キス」
「ええっ!! ひ、大翔君!?」
少しからかった俺をさらに顔を赤くして睨んで怒ってくるまりや。
そんな姿さえ可愛いと思うんだから、俺は自分で思ってるよりも、まりやにハマってるのかもしれない。
「ほら、米倉の所に行くんだろ。置いてくぞ」
青信号になったと同時に歩き出す俺の後を、小走りでついてくるまりやと過ごす初めてのこんな休日も悪くない。

