「そうかなぁ? だって女の子嫌いって噂聞いたよ。
あの人、女の子と一緒にいるから違うんじゃない?」
「絶対にそうだって! あのハンパないカッコ良さは間違いないよ!」
スーパーからの帰り道。
米倉の家がやってる店に向かって信号待ちしていた俺の耳に、ヒソヒソと話す声が聞こえてくる。
うちの学校の生徒、女子2人組。
女って好きだよな。
誰がどこにいて、何してたとか噂するの。
いつもならあまり気にしないけど、今はまりやと一緒にいるから無視することもできない。
ヒソヒソと噂しながら、さっきの女子2人組が俺たちに段々と近付いてくる。
「ほら、やっぱりそうだって!!」
さすがにまりやも気付いたらしく、不安げに俺を見上げて、服の袖をギュッと握ってきた。
「安心しろ。大丈夫だから」
空いてる方の手で、まりやの細い肩を抱き寄せて、わざと顔を覗き込む。
その距離、僅かに数センチ。
途端に顔を赤く染めるまりやが愛しくて、ここが歩道だということを忘れそうになる。

