「米倉の家?」
残りの食材を買いながら、まりやが教えてくれた商店街の中にある肉屋のこと。
そこは、昔からあるこの辺りじゃ有名な店らしい。
米倉を初めて見た時、元気な奴だと思ってたけど、そのエネルギー源は食べ物からきてるのかと妙に納得してしまった。
手早く肉以外の買い物を済ませて、スーパーを後にする。
「大翔君、半分持つよ」
食材の入った袋を持って歩く俺に、まりやが当たり前のように言う。
「こういうのは男の役目だろ。
まりやは素直に甘えてればいいから」
それが意外だったのか、まりやは目を大きく見開いた。
「あ、ありがとう」
お礼を言われるようなことはひとつもしてないのに、胸の辺りがくすぐったくなる。
「ねぇ、やっぱりあれヒロ君じゃない?」

