ご褒美なんて言ったけど、本当は俺がまりやのために作りたいだけ。
「まりやの大好物だけど、いらないんだ?」
聞かなくても答えなんて最初からわかってるのに、つい意地悪したくなる。
そんな俺の心を知らないまりやの顔が、急にパァッと明るくなった。
分かりやすすぎだろ。
「「煮込みハンバーグ」」
合わせたわけでもないのに、2人の声が同時に重なった。
おかしくて、お互いにクスクス笑い合う。
「大翔君、よく覚えてたね」
「覚えてるよ。
いつも家族ぐるみで外食した時は、必ず煮込みハンバーグだったからな」
小さい頃からお子様ランチよりも、煮込みハンバーグが好きだったまりや。
それを思い出して懐かしいと感じる。
「ハンバーグ作るなら、お肉は栞のところで買う?」

