「あ、ごめんね。変な意味じゃなくて。
さっき、大翔に電話した時に微かだけど、女の子の声がした気がするんだよね」
やっぱり光の奴、感づいてたのか。
いつもは突っ込んでくるくせに、何でわざわざまりやの家に来てまでそんなこと聞くんだよ。
よくわからない親友の行動に、眉を寄せる。
「ほら、あいつが話す女の子って、オレが知ってる中では数少ないし、今いちばん近くにいるのはまりやちゃんしか知らないから。
もしかしたら、一緒にいるのかな~って、何となく思っただけなんだ」
「そうなんだ。でも残念ながら大翔君は、一緒じゃないよ。
朝早くに家族揃って出かけたみたいだから」
「そうなの? じゃ、あの声は大翔ママの声だったか……。
オレもまだまだだなぁ」
話を合わせてくれたまりやに感謝しつつ、光の脳が単純でよかったと、何とかバレずに済みそうなことに心底安心する。
「ま、まりやちゃんに会えたし、良い休みになったよ。
良かったら、今度オレとデートしてね? 大翔には内緒で」

