溺愛王子とヒミツな同居




「栞、ちょっと来て」



これ以上いると他の子達からも追求されそうで、栞の手を取り、教室から素早く避難。



「どこ行くんだよー」



楽しそうに笑う栞を引っ張ってしばらく歩き、足を止める。



ここまで来れば大丈夫かな。



ほとんど使われていない空き教室の前で止まり、何も知らない栞に振り返る。



「あのね、実は……私、再会したの」



「誰と? ……まさか、8年間想い続けたあの子のこと?」



静かにコクンと頷くと、栞の大きな目が更に開かれる。



「マジで!? どこの誰!? いつ会ったの!?」



鼻息荒く聞いてくる栞は、私に近付いてくるなり壁際に追い込んできた。



「ちょっ……し、栞……落ち着いて?」



あまりの迫力に私が怯えていたのか、ハッとして「ごめん」と謝ってくれた。