「言おうとしてる時点で、既にアウトなんだよ。
態度や性格だけじゃなく、口まで軽かったとは、お前の長所なんてどこにもねーな」
哀れみの目を向ける大翔君に、必死に抗議する宮内君の顔には、焦りが滲み出ている。
「なになに!? 松っちゃんとヒカりんが幼なじみなん?」
目を輝かせて、興味津々の栞に、私と大翔君の目が自然と合う。
「米ちゃん……ヒカりんって呼ぶのやめてくれない?」
「可愛いじゃーん。 それとも、宮っち?」
「あ、まだ宮っちの方がいいかも」
「わかった。 ヒカりんに決定ね」
「……人の話、聞いてないよね、絶対」
自分が面白いと思うことに全力を注ぐ栞に、宮内君までも餌食になってしまった。
「で、誰と誰が幼なじみなの?」
話が逸れて内心ホッとしてたのに、気になることはとことん追求する栞に、逃げ場を失ってしまう。
クラスメイト達からの視線もさらに鋭く向けられる。

