「あ、でも……期待はしないでね?

大翔君が作るみたいに、美味しく綺麗には出来てないから」



慌ててそう付け足したまりやに、自然と笑みが零れだす。



「味や見た目じゃない。

頑張って作ってくれたまりやの気持ちがこもってれば関係ない。

ありがとな」



苦手としながらも、自分から誰かのために何かをする。



その相手が偶然にも自分だったという事実に嬉しさを隠せなかった。



光が訪ねてきて、厄介ごとが増えたと思ったけど、今回ばかりはあいつに感謝だな。



思いもしなかったハプニングに、頬が自然と緩む。



特別に想ってる子が、俺のために初めて作ってくれた料理は、凄く美味しいとまではいかないけど



とても、優しい味がした。