マズイ……と心の中で思いながらも、平静を装う。
「行くわけないだろ。
母さんがクリーニングにでも出すのがあるんじゃねーの」
「ふーん……。 まぁ、いいけど」
さほど、興味もなさげにソファから立ち上がる。
「じゃ、オレ帰るわ。
これから大翔を観察する楽しみが増えたことだし」
面白がる光に、心底嫌そうな顔をする。
「だから、お前には言いたくなかったんだ。
まりやに余計なこと言うなよ」
「うわぁ。 まりやだって!
マジで幼なじみなんだね」
俺の言ったこと、全く信用してねーな……こいつ。
光に教えたことを激しく後悔し始めた。
「だから何だ。 呼び捨てにするな。
お前がまりやの名前呼ぶと、イラッとすんだよ」
「ふ~ん? 大翔知ってる?
その感情の名前」
ふふん、と得意げに笑う光の態度に、更に俺の表情は険しくなる。
「それ、世間では嫉妬って言うんだよー」

