何も答えない俺に、段々と光の口元に微笑みが宿る。
「その顔はなんだ」
「もしかして、もしかしちゃったりする!?
お隣さんって、マジでまりやちゃんの家なの?」
冒険を楽しむ子供のような顔で、ワクワクしだす光に、あえて表情を崩さない。
「そんなこと知ってどうすんだ。
光に関係ないだろ」
「あるだろ! だって、まりやちゃんだぞ!
ほわぁ~っとしてて、女の子ーって感じじゃん!
マジで付き合うなら、まりやちゃんみたいな子がいいよなぁ」
いつも言ってる口癖だとわかっていても、こいつの口からまりやの話が出るのは、
正直、気分良いものじゃない。
「そんな軽い気持ちで、付き合いたいとか言うな」
自分が思ったよりも、低い声が無意識に出た。
光も俺がこんなこと言うなんて、初めて聞いたという顔で、一瞬驚いていた。
「大翔どうした? お前がそんなマジ顔で言うなんて……。
オレ、ビックリなんだけど」

