彼は冷めた王子様


「ここ…か。以外と近かったな」

ガラララ

うっ。朝の女。

「あっ!柊弥先輩っ!朝ぶりですっ」

俺はペンキだけとって教室へ戻ろうと思った。

すると。ワイシャツの後ろを掴まれた。

「…やめろって、離せ」

素直に離してくれた。

「ラブラブですね、美愛先輩と」

「…だと思うなら邪魔すんな」

「いえ。します」

は?邪魔すんのかよ。

「…っち。意味わかんね」

「先輩。美愛先輩と別れて私と付き合いましょ?」

なにいってんの。こいつ。

「…美愛以外と付き合うとか考えらんない。…死んでも無理」

「私、もっと諦められなくなりました。美愛先輩に何が起こるか分かりませんよ?」

さっきからなんなんだ。

「……」

俺はペンキをもって教室に戻った。

「柊弥ー!やっときたっ」

「遅くなってごめんな」

「うん?全然大丈夫だよ」

「あっ!あたし、白のペンキも頼むの忘れちゃった!」

「ばか…」

「今度はあたしが鳥に行ってくる!黄緑ぬってて?」

「ん」

急いで美愛は教室を出て行った。

俺はワイシャツの腕まくりをして色ぬりをはじめる。

美愛がペンキがある教室に行ってから10分くらいたった。

俺は2ーEをぬり終えた。

つか遅くね?美愛。ふつう3分くらいで帰ってこれる…。


まさかと思って俺は朝会った女のクラスの人達の方を見た。

まだ…あの女は帰ってきてねぇ。

やっぱり…!あの女と美愛は今ペンキがある部屋で2人だけ…。

『美愛先輩に何が起こるか分かりませんよ?』

俺はさっき言われた言葉を思い出す。

美愛が…危ないっ!

俺は教室を飛び出す。