彼は冷めた王子様



俺がベンチから立とうとしたその時。

どっかから俺が一番聞きたい声が聞こえた気がした。

気のせいか。来てるはずねぇもんな。


「っ…!…や!…柊弥!頑張って!

柊弥なら頑張れるよ!!」

それは確かに俺の聞きたい声だった。

そいつは観客席の1番前にいた。

「美愛…なんで…」

ビーーーー

「第4Qはじめます」

「「おねがいします」」

俺は信じられなかった。

美愛はもう俺の応援なんかしてくれないと思ってたから。

なぁ。まだ期待してもいいの…?

美愛はきっと俺が好きっていう恭聖の言葉、信じてもいいのか…?