彼は冷めた王子様



俺は走ろうとしたが無理だった。

最初から痛めた足を今まで耐えて試合をしてきたのが理由というのはみんな分かりきってるんだろうな。

「「柊弥!」」

「心配すんな…、俺はまだ大丈夫だ…。

第4Qもでる」

「お前無理すんなっつったろ!

なんで今まで我慢してきたんだよ!」

「それが無理だったんだよっ…!

チームが頑張ってんのに俺がこんないい試合で休んでるわけにいかねぇだろっ」

「…お前は最終Qにでたいんだな…?」

「あぁ…。足が壊れてもいい。

この試合にかけたい」

「…わかった」

俺も自分で大丈夫なのか分かんなかった。

相手チームの動きははやいし俺の怪我した足じゃついていけないのかもしれない。

けど最後まで諦めたくなかった。

「まもなく第4Qを始めます。

選手は準備してください」

この第4Qの間だけでいい。

俺の足、最後までもってくれ。