どこへ行くか教えてもらえないまま家を出た。



わざわざタクシーまで乗ってやって来たのはお墓だった。



あたしは誰のお墓なのか知らずに俊平の腕を掴んで黙って歩いた。




お線香の代わりにタバコに火をつける俊平。




「タクミ…来たぞ。雫と」



えっ?タクミさんのお墓?



「お前が生きてくれてりゃどんなけ良かったか」




俊平はあたしの隣でタクミさんに話しかける。




「なぁ、タクミ…頼むからこれ以上雫が傷付かないようにしてくれ」




傷付いてもいい。



俊平と一緒にいられるならそれでいい。