「そのせいで椿連合の皆は銀桜とやる気になっていったんだけど、お兄ちゃんだけは何だか考え込んでた。お兄ちゃん、あたしたちには優しいけど喧嘩っ早いのにどうしたんだろって思ってた」




あたしは本当に何も知らなかったんだ。



あの怪我の日以来、椿連合がそんなことになっていたことも、タクミさんが喧嘩っ早いってことも。




「そうしたらお兄ちゃん、あたしに自分に何かあったら弟たちと雫さんを頼むって言ってきたの。あたしはお兄ちゃんが考えてたのは雫さんのことだったってわかった」




タクミさん……。




あたしは涙が流れてきていた。





「ここからはユイくんに聞いた話」




ユイくんって言うのは、椿連合の幹部のひとりでタクミさんともユウカさんとも仲良しの人だ。





「お兄ちゃん、いつでも死ねるって思ってたんだって。だけど、雫さんと出会って初めて死にたくないって思ったって言ったらしい」