サヨナラのしずく

ホテルを出ると、俊平はタバコに火をつけた。




「あたしもタバコ吸いたい」




さすがに制服姿で吸うわけにはいかない。



部屋の中で吸ってくればよかった。




「女がタバコ吸うんじゃねぇって言ったろ」



「タバコがなきゃ生きていけないって言ったでしょ？」




あたしにとってタバコは安定剤の役割もしてくれてる。



最近つくづくそう思う。




「俺がタバコの代わりになってやるから、辞めろ」


「どういう意味、それ？意味わかんない」


「まあ、いいや。でも俺はタバコ吸う女は好きじゃねぇ」




自分は吸うくせにと思ったけど口には出さなかった。



だってあたしには関係のないことだから。