掴まれた腕が 熱くなるのを感じたあたしは ドンッ 駿の鳩尾を一発殴る。 一発だけだというのに 駿は簡単に倒れこんでしまい、 「…麗、お前…っ」 今にでも涙が出そうな顔で あたしを見つめる。 「…大切なんかじゃない。 だから、 こうやって簡単に 殴れるよ。 …あたしは、 こういう人間なの」 その顔を直視することが出来ず じゃあね、ともう一度そう言うと 今度こそ車に乗る。