「水戸部(ミトベ)って、ほんと真面目だよね。」



肩を竦めて箕島は笑う。


「別にいいだろ。そういう性格なんだ。」
「悪いとは言ってないよ。あ、ねぇ」



箕島は思い出したように身を乗り出してきた。



「な、なに?」
「お前さ、俺のこと苦手でしょ?」
「ぇ…………」



突然見透かされた言葉に少なからず動揺してしまった。


そんなに顔に出ていただろうか?


「やっぱ図星?だよねー、俺とお前って正反対だし。」



と箕島は笑って言うけれど、これを肯定するのはマズいんじゃ……。


だって少なくともあと一年は同じクラスなわけだし、委員だって同じ。


色々とやりづらくなるに違いない。



「そんな事はないよ。」
「え?そうなの?へぇー」



箕島は再び頬杖をついて俺を見た。



「でも俺、お前のこと大っ嫌いなんだわ。」
「………………。」



……もー、ほんとこいつ何なの!?


人が気遣ってやってんのに!


さっきの俺の葛藤返せ!



「だから、俺のものにするね。」
「…………は?」



思わず箕島を凝視したけど、変わらず笑顔で感情が読み取れない。