その訳は知らなかったけど、引っ越すのは大抵近くの所だった。






だから、まだこの辺に住んでいるんだろうって思っていた。






少しでも、手がかりを探していた。




実を言うと、まだ迎えに行くつもりではなかったんだ。




俺の家の事情で、今、美幸を迎えに行っても、幸せにしてあげられない状況だから。





でも、あいつが何処にいて、どういう生活をしているのかだけでも知りたかった。






だから、美幸以外の女と恋人になるつもりなんて無かった。







それなのに、俺は勘違いをしてしまった。







「ねえ一条くん?」




そうやってあの日、橋本が話しかけてきた。