でも、優也は俺が、また怒ってるんだと思ったようだ。
「ああ……。」
いつも冷静な優也が、こんなに動揺するのは、逆に気持ち悪い。
「別に怒ってないから。」
俺達は、それから何も話さなかった。
「優也くん?」
しばらくして、最初に現れたのは、橋本だった。
「あ、瑠衣くんもいたんだ。美幸、もうすぐ来ると思うよ。」
「わかった。」
橋本が優也の呼び方を “優也くん” に変わっていることに
少し苛立ちを感じる。
「優也くん。帰ろう?」
「ああ。じゃあな、城崎。」
「じゃあな、一条。」
中学生の時は、お互いに名前で呼び合っていたが
もう呼べない。

