意外な人物の登場に驚いたのか、紗千子さんは放心した。 「あのぅ…?」 「あ……ごめんね。どうぞあがって。」 お邪魔します、と声をかけて、瑠衣の家に入る。 瑠衣がいた頃と、ほとんど変わらない。 小さい頃の瑠衣の落書きとかも、壁にしっかり残っている。 「母さん、誰きた?」 奥のリビングから聞こえた声。 紛れもない、哉也さんの声。 紗千子さんは、黙ってリビングのドアを開けた。 「美幸ちゃんが、来てくれたわ。」