「美幸っ!」 一瞬、優也の声が聞こえた気がしたけど、無視して走った。 あの時、確かに忘れることを決断した。 この思いを閉じ込めることにした。 だけど、まだダメ。 今、2人きりになったら、溢れそう。 この愛しさが、まだどこにも行けずに胸の中に残っている。 あなたの優しさが大好きだった。 今、あなたは声も低くなって、身長も前よりずっと高くなっていて、髪色も茶色になった。 それなのに、優しさは変わってない。 やめてよ。 私に優しくしないで…。