パニックの橋本に声をかけようとした時、橋本は俺に衝撃の事実を叫んだ。




「どんなに寂しくても、どんなに家で孤独を味わっても、あの子は待ってたのにっ」




『どんなに家で孤独を味わっても』……?




俺は、美幸の家庭の事情は知らなかった。



住居を転々としていたことは知っていても、理由を知らなかった。





「家で孤独を味わっても、ってどういうことだ?」




俺の質問に、橋本は答えず「美幸に謝らなくちゃ」と呟いた。




「なぁ、どういうことだよっ!」




俺が橋本の肩を揺らす。




「ちょっ、先輩方落ち着いてくださいっ!!」