「俺は、美幸の元彼なんだよ。」
俺は、気づかないうちに、自然と佐川に話し始めていた。
「元彼……?」
「中2の時、あいつと付き合って。でも家庭の事情でアメリカに行くことになった。
子どもの俺じゃ、何を言っても聞いちゃくれなかった。
だから、『日本に帰ってきたら迎えに来る』って約束したんだ。」
「それじゃあ、どうして今……」
「俺は、日本に来てすぐに勘違いから橋本と恋人になった。
俺が、何とかしようと思った時には、もう、瑠衣がいた。」
「それじゃあ……」
驚いた様子の佐川を、俺は目を細めて見る。
「俺は、ずっと美幸だけしか見てないんだ。」

